• テキストサイズ

ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第46章 天才と天才




…………………………



【全く……こんな真昼間から部屋に籠って、本当に陰気臭い子どもだこと】


そんな言葉が耳に入って、逃げるように家を出たヒナタは、当てもなく里内を歩き回っていた。

ヒナタ「っ……」


そこで、真っ直ぐにこちらを見つめているその視線に気がついて、ヒナタの息が止まる。


ネジ「ヒナタ様」

ヒナタ「ネ、ジ兄さん」


ネジ「……お久しぶりです」

ヒナタ「は、はい、あの……」


失礼しますと、この場を去ろうとしたヒナタの体はネジによって制止される。


ネジ「ヒナタ様」

びくりと体を竦ませたヒナタを見て、ネジは少しヒナタとの距離を空ける。


ネジ「ヒナタ様……あなたと、少し場所を変えて話がしたい」

ヒナタ「は……い」



こうして、ヒナタがネジと隣合って歩くことなど、一体何年ぶりだろうか。

どくどくと速まる鼓動を何とか落ち着かせて、ヒナタは緊張から震える足を必死に動かした。


そして、そのまましばらく無言で歩き続けていれば。

二人は、人気のない川べりに到着し、そこでネジの足は止まった。


ネジ「………」

ネジ(今更……今更、何を言うつもりだ)


わかっていた。何年も前から。

何の非もないヒナタに、キツくあたることが、ただの……八つ当たりであること。


そんな子供じみた感情と言動を、認めたくなくて、受け入れる事が出来なかった。


仲の良い関係を築いていた幼少期。

しかし、父ヒザシの死から、一変した自らの態度。


この変化に、ヒナタは何も言わなかった。

ただ、その瞳が悲しみの色をうつしていた事に、気付かないフリをして。

そして悲しみはいつしか、恐怖の色に変わっていたことにも。


/ 1018ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp