第46章 天才と天才
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あのリベンジ戦から数日、奈良家には小さな客人が訪れる。
ヨシノ「父ちゃん。父ちゃんにお客さんだよ」
シカクか「客?」
ヨシノに呼ばれて、シカクが玄関の戸を開ければ、そこには一人の少年の姿があった。
ネジ「第11班の担当上忍、奈良シカクというのはあなたで間違いないか」
シカク(この目は……日向の倅か。大きくなったもんだな)
シカク「ああ、そうだが」
まだネジが赤ん坊の頃に、一度会った事がある。
その後も、日向の才を色濃く受け継いだ天才だと噂には聞いていたが、そんな日向の倅が何故自分を訪ねて来たのか。
シカク「!」
出方を伺っていれば突如、深く頭を下げたネジに、シカクは少々面を食らう。
ネジ「今回の失言、そして自分の考えが間違っていた事。ここに謝罪致します」
「自分の考えは浅はかだった」と、そう告げるネジにシカクは疑問符を浮かべる。
シカク「ちょっと待ってくれ、一体なんの話だ」
ネジ「では、自分はこれで」
そう言って去っていったネジを、状況についていけないシカクは、ただぽかんとしてそれを見送る。
首をひねりながら居間へ戻ると、ヨシノもそんなシカクの様子に首を傾げた。
ヨシノ「そんな顔して、何の用事だったんだい?」
シカク「いや……それが俺にもよくわからなくてな」
ヨシノ「?」
シカク「急に謝られたんだが、そのままどっか行っちまった。あ、それと」
シカクはくるりとキリへ視線を向ける。
シカク「日向の倅がキリによろしく言っといてくれってよ」
キリ「! はい、わかりました」
シカク(わかったって、なにをだ?)
その後、ずっと上機嫌な様子のキリに、シカクは尚更首を傾げていた。