第46章 天才と天才
ガイ「キリ! これもお前のおかげだ!!!!」
バッと振り返って、今度はキリに熱い抱擁をと両腕を広げて迫れば、突如ぐんっとキリの腕が引っ張られた。
シカ「危ねぇ」
キリ「!」
そのままキリを通り過ぎたガイに、シカマルは眉を寄せながらキリを自分の後ろへと隠した。
「なんだなんだ二人ともシャイだな」とかなんだとか言って笑うガイに、警戒しながらもシカマルはキリと早々にその場を後にする。
…………………………
その帰路を、キリとシカマルは肩を並べて歩く。
シカ「お疲れさん。良かったな」
「リベンジ成功じゃねぇか」と、笑顔を見せるシカマルに、キリも礼を言って返した。
キリ「……あなたのおかげ」
シカ「は? 俺は何もしてねぇだろ」
キリ(……途中、危ない時が何度かあった)
ネジとの戦闘中、ネジの重たい攻撃とそのダメージ量に意識が飛びかけた事が何度あった事か。
キリ(でも……)
シカマルが、キリの事を目標にしていると言った。
その目標が、倒されてはいけないだろうと。
崩れそうな膝も、叱咤する事が出来た。
キリ(それに、次は絶対に勝つと約束したから……)
戦いの中。シカマルの方へと視線を向ければ、ぎゅっとこぶしを握って見守ってくれていたから、キリの勝ちを信じてくれていたから。
それに応えなければと、更に一歩踏み込む事が出来た。
キリは、不思議そうな顔をしているシカマルに、笑みをこぼした。
キリ「なんでもないわ」