第46章 天才と天才
ネジ「……いいだろう。ただし、お前が俺に勝てればの話だがな……っ!!」
踏み込むと共に伸びてきたネジの掌打を、キリは半身をひねって躱し、そのままネジの腕を掴んで引っ張り込むと、ネジの腹部へ膝蹴りを叩き込む。
キリ「!!」
ネジは残る片方の手で、キリの膝を止め、はたき落したかと思えば、すぐにキリの顎を目掛けて掌打を放った。
キリ「……っ」
首を傾けてそれを避けると、キリはネジの顔面へ拳を振り抜いた。
キリの拳を手で受け止めたネジは、その勢いに後退こそしたものの、ダメージはまるで入っていない。
キリ「………」
そんなネジを、キリは不服そうに眉根を寄せて見据える。
そして、唐突に始まったこの戦いに、開いた口が塞がらない男が一人。
シカ(……おいおい。キリの奴、完全にキレてんじゃねぇか)
ネジの発言に、そこまで怒り心頭していたとは気が付かなかった。
思えば、シカマルはキリが怒っているところというのを初めて見る。
あんな風に誰かに敵意を向けて、声を低くしたキリも、怒気を含んだ鋭い視線も、今まで見たことが無かった。
シカ(つーか……お前普段、顔面殴るとかそんな事しねぇだろうが)
さっきのは確実に、腹が立つから一発殴ってやろう。くそ、防ぎやがった。の顔だろう。
シカ(……キリのこと怒らせたらこうなんのか)
ヨシノとはまた違う種類の恐怖を覚えて、何故かシカマルが嫌な汗をかいていた。