第46章 天才と天才
すると、リーと何やら通じ合っている様子のキリが突然顔を上げたかと思えば、その表情に変化が見える。
ネジ「なんだリー。もしかしてこいつに負けたのか?」
リー「!」
向こう側からテンテンと共に、真っ直ぐこちらに歩いてくるネジに、キリの瞳は鋭さを見せる。
キリ「……今、ちょうどあなたの話をしていたわ」
ネジ「ああ、負けないだとか大きな口を叩いていたな」
キリ「……」
キリは、ゆっくりとネジの目の前まで歩を進める。
キリ「あなた……以前自分が言った言葉を覚えてる?」
一体どれの事を言っているのかと、ネジは眉を寄せる。
キリ「ヒナタの事を弱いと、シカクさんの事をぬるい教育をしていると、そう言ったわ」
ネジ「ああ、そのことか。それがどうした。真実を述べただけだ」
そう言って、ふと嘲笑を浮かべたネジに、キリがまとっている空気が張り詰めていくのがわかる。
キリ「……戦う前にひとつ、約束して欲しいことがあるわ」
ネジ「なんだ、手加減でもしてくれと言うつも……っ!!」
ひゅんっと抜かれたキリの刀に切られたネジの髪が、ハラリと地面へ落ちる。
キリ「私が勝った際には、その考え……即座に改めて誠心誠意二人に謝罪なさい」