第45章 獣的本能を持つ奴ら
シカ(出来るわけねぇだろうがっ!!!!)
そう、シカマルは声を大にして叫びたかった。けれど、耐えることが出来た自分を誰か讃えてはくれないかという気持ちになる。
キリ「気持ちは大切だわ」
リー「はい! なんとかしてみせます!」
キリ「そう、頑張って」
ガイ「よしっ、次の修業からさっそく取り入れてみるか!!」
リー「ガイ先生! よろしくお願いします!!」
シカ(あんたも担当上忍なら止めろよ!!)
実際、シカマルは目の前でその〈開門〉という技を見たことはない。だが、キリの目からは、長く続けていれば死ぬ可能性があるようなハイリスクな術なのだろう。
根性でどうにか出来るのも、限度というものがある。
なんでもかんでも、気持ちだけで不可能が可能になるわけではないのだ。
最悪、このおかっぱ二人はもういいとして、キリもなんでそれで納得したんだと視線を向けた時、ふと過去の出来事が思い返される。
以前、キリは任務でーー。
たった一人で音隠れの忍を四人相手に、一晩中。朝まで戦い抜き、その後さらに疲労困憊な中、気力だけで木ノ葉隠れの里まで十七時間も走り続けたキリの勇姿が浮かぶ。
シカ(くっ……なんも言えねぇ)
その強く折れない気持ちで、本当に乗り越えることが出来る奴に、自分は何も言う資格はない。
シカ(なんだ? もしかして俺が間違ってんのか?)
一般的だと思っていた自らの考えに、そんな不安がよぎる。
今すぐ、チョウジと会って話がしたかった。