第45章 獣的本能を持つ奴ら
再び空を切ったキリの刀が、上段突きを放ったのを、リーは頭をかがめて避ける。
キリ「そんな普通、私は知らないわ」
即座に足元に刀を振るわれて、地面を蹴り上げ、上空へと回避すると、一歩前に踏み込んできたキリがくるりと後ろ姿を見せたかと思えば、すぐに上からキリのかかとが落とされた。
リー「ぐぁっ!!」
リー(このままでは……っ)
今のままでは、キリの間合いに入ることが出来ない。リーは後ろへ転がりこんだのを利用して、そのままキリのと距離を置き、開門を試みる。
キリ「させないわ」
一呼吸もつく暇なく、リーとの距離を詰めたキリから、猛攻が開始された。
上、横、下、そのどこからも迫ってくるキリの連撃に押されていれば、ドッと背中に何かが当たる。
リー(!!)
リーの背後にあった木の幹にぶつかり、リーは必然的にこれ以上の後退が不可能となる。
リー(しまっ……!!)
キリに誘導され、いつの間にか退路を断たれていたのだと、気付いた時には、もう遅かった。
迫り来るキリの刀。
それが、ピタリとリーの首のすぐ横で止まった。
キリ「……今日は、私の勝ちね」
ガイ「勝負あり!そこまで!」
リー「~~~っ」
悔しさに打ちひしがれるリーに、キリは少し迷いながら手を差し出すと、リーは少し困ったような笑みを浮かべて、キリの手を取った。
リー「負けた事は悔しいですが、今回も熱い戦いでした! キリさん、君は強い」
「全く間合いに入らせてもらえなかった」と、リーは肩を落とした。