第45章 獣的本能を持つ奴ら
キリのこのカウンターでの抜刀。
見慣れているはずのシカマルですら。それが来ることをわかっている状態で、かろうじて見えた程度。
それを初見であるはずのリーが避けた事に、驚きを隠せずにいると、リーはバッと手のひらをシカマルに向ける。
リー「いえ、 キリさんの攻撃自体は見えていません」
シカ「は?」
じゃあどうやって避けたというのだと、問いかければ、リーは得意げな表情を見せた。
リー「勘です!」
シカ「……勘?」
リー「はい! 何か嫌な予感がしたので」
シカ「おいおい。あんなに勢いよく突っ込んどいて、ただの勘で止めたっつーのかよ」
そう呆れたように返せば、逆にリーとキリからは、きょとんとした顔を返される。
リー「はい、それがどうかしましたか?」
キリ「戦闘中には良くあることよ」
リー「そうですよね! ガイ先生!」
ガイ「あぁ、ナイスだリー!!」
さも当たり前だとでもいうような返事を三人から受けて、シカマルは心の中でぼやく。
シカ(くそっ、ここには俺の味方がいねぇ)
世の中にはいるのだ。この手のタイプが。
シカマルのように、あれこれ考えて行動するのではなくて、その時の〈空気〉を感じて、本能で動くことの出来る戦闘センスのかたまりのような奴が。
どうやらキリとリー、そしてガイはそのセンスを持った同種の集まりであるらしい。
そして戦闘前の丁寧な一礼や、ここまでの二人の会話から、暑苦しさ極まりないリーと冷静極まりないキリという両極端な二人のはずなのに、何故かその根っこに似たような匂いを感じている。