第45章 獣的本能を持つ奴ら
キリ「……あなたは、良い忍だと思う」
シカ「!」
キリ「あなたはあまり自分のことを高く評価はしないけど、充分な強さを持ってる」
シカ「俺より何倍も強ぇ奴に言われてもな。それに、俺は自分のことも妥当な評価をしてるだけだ」
キリ「そう? 私はもう少し良い評価でもいいと思うけど」
くるりとこちらを振り向いたキリの瞳に、シカマルの姿が映る。
キリ「実戦にまだ慣れていないだけ。体術も経験が足りなかっただけで、今は見違えるほど力がついてる」
「どうしても経験は大切だから。あなたもこれからすぐに伸びる」と、そう言われると、やはり悪い気はしない。
それに、自分が実力を認めている相手から良い評価をされるというのは、単純に嬉しくもあった。
照れ隠しに後ろ頭に両手を組んで、一言礼を言えば、キリから小さな笑い声が聞こえた。恥ずかしいやら嬉しいやら、そんな気持ちが混じってどうにも落ち着かない。
そんな穏やかな二人の空気をぶち壊すように、けたたましい雄叫びがすぐ近くから聞こえてくる。
ガイ「青っ春フルパワー!!!!」
リー「うぉぉぉぉぉおおお!!!!」
ガサガサガサッと、なぜか道ではなくて、茂みから現れたおかっぱ頭二人をシカマルたちは見つめる。
シカ(……なんつーか……相変わらず、すげぇな色々)
キリ(……二十四時間いつもこうなのかしら)
すぐにキリたちの存在に気が付いたガイとリーは、揃ってこちらに視線を向ける。
キリ「……二人一緒だと……」
ぼそりと呟いたキリのその先に言わんとしている言葉が、すぐに理解出来た。
シカ「あぁ……すげー濃いな……」