第45章 獣的本能を持つ奴ら
ネジ「何度やろうが同じ事だ。あの程度の実力では、十戦っても十同じ結果になる」
シカ「あんまり……あいつのこと舐めてかかると痛い目見るぜ」
シカマルの遥か先にいるキリの背中を必死に追い続けて、ようやくあの日のキリに近付けたと思ったら、キリ本人はあの日のキリをとっくに追い越していて、また遠いその後ろ姿を追って。
ずっとそんな日々を繰り返している。
決して、そこに留まり続けてはくれないのだ。
ネジ「ふん、口だけでは何とでも言える」
これ以上相手にしていられないとばかりに、この場を後にするネジと、また戦える時を楽しみにしていると思いを滾らせながら去っていくリー。
そんな二人の後ろ姿を、シカマルは大きなため息をついて見送った。
シカ「っはーーーー……」
今にも殴りつけたい衝動をどうにか抑え込んだ自分を褒めてやりたい。
シカ(キリ、ぜってー負けんなよ)
…………………………
それから数日が経って、キリたちは里の研ぎ師のもとへ訪れた。
すると、すぐにキリの姿に気が付いた研ぎ師はニッと歯を見せて笑顔で迎えてくれる。
『おう、お嬢ちゃん』
キリ「こんにちは」
『なんだ、今日は彼氏も一緒か?』
キリ「!」
隣にいるシカマルを見ながらニヤニヤと笑みを浮かべた研ぎ師。
シカ「っ、そんなんじゃねーっすよ」
ぽりぽりと少し赤くなった頬をかいて告げたシカマルに「なんだ違ったのか」と、くつくつ笑いをもらしながら、研ぎ師は刀を取りに奥へと入っていく。
『刀、もう仕上がってるからちょっと待ってな』