第44章 敗北
今日、シカマルがいのから仕入れたこの情報。
実は聞いた時から、ずっとキリと共に見に行けないだろうかと考えていた。
落ち込んでいたキリも、随分と立ち直ったようだが。
「気分転換にでも一緒に行かないか」そう誘うのが一番無難だろう。さらりと、さらりとそう言ってしまえばいい。
シカマルは一度、キリにバレないようにゆっくりと深呼吸をしてから、意を決してキリに視線を合わせた。
キリ「今から、散歩がてら一緒にどう? あなたが良ければだけど……」
シカ「!!!?」
嫌なら無理をしなくてもいい、とキリが最後まで言い切る前にその言葉を遮った。
シカ「いや、俺も……今誘おうと思ってた」
まさかのキリからの誘い。この思わぬ展開に、頬が火照っていくのを感じる。
キリ「!」
ちらりとキリを見れば、キリからは、ふわりと笑顔を返される。
シカ「っ……!」
キリ「そう。良かった」
そう言って微笑むキリが、少し嬉しそうに見えるのは自分の自惚れだろうか。
熱くて仕方のない顔を隠すように、シカマルはキリから視線を逸らした。
キリ「じゃあ、行きましょう」
シカ「お、おう!」