第44章 敗北
そのあと、数十分もすれば立てるようになった。敗北を背負った体はひどく重たくて、引き摺るようにして、キリは帰路についた。
キリ(………負けた)
シカクとの修業や演習を除いて、木ノ葉に来てから、初めての敗北。
アカデミーでは天才だと、実力NO.1だと言われていたサスケにも体術で負ける事はなかった。
樹の里でだって、同世代の人間には負けた事がないと言ってもいい。
それを、完全なタイマンで。更に、得意としている体術で、キリは敗北した。
ぎゅっと握りしめた拳から、ぽたりと地面に血が落ちる。
負けると、思っていなかった。
だが、リーが開門というのを行ってから、リーのスピードがキリを上回った。
その速さに、粗末なガードしか出来なくなり、体には確実に蓄積されていくダメージ。
こちらからの攻撃も届いてはいたが、尋常じゃないリーのタフさ。その結果、先に耐えられなくなったのはキリの方だった。
奈良家の前まで戻ってきたキリは、重たい足取りで家の中へと入る。
すると、いつものようにぱたぱたと迎え入れてくれたヨシノと、その少し後から顔を出すシカマル。
ヨシノ「キリおかえり、今日はいつもよりもはや……!! あんた一体どうしたんだい!?」
ボロボロになって、土まみれの姿に目を丸くしたヨシノ。
シカ「おいおい、痣だらけじゃねぇか」
至る所に痣が出来て変色しているキリの腕を見て、シカマルは「誰にやられたんだ」と、表情を険しくさせた。
キリ「……なんでもない」
シカ「なんでもないわけねーだろうが」