第12章 懐かない子猫
シカク「キリ、行ったぞ」
向こうで待機していたキリは、駆けきた子猫をひょいっと抱き上げる。
シャーと小さな牙をキリへと向けるが、キリは構わずに抱き続ける。
シカク「よし、任務完了だな」
今日は第11班での任務日であった。
内容はDランク。逃げ出した子猫の捕獲にあたっていたシカク達は、手際よく子猫を発見。そして捕獲に成功した。
シカク(なかなかのもんだな)
今回で第11班の任務は3度目となったが、そのどれも問題なく完遂している。
全てが比較的簡単なDランク任務ではあるが、その中でもキリの能力の高さは垣間見れた。
シカクが前に立ち、サポート役にまわらせても。
反対にキリを中心に自分がサポート役にまわっても、そのどちらもキリは器用にこなした。
任務中の態度は至って真面目であるし、瞬時の判断は的確だ。
シカクが出した指示に忠実に従いつつも、状況に応じて形を変えられる柔軟性も持っている。
「フーーーッ!!」
暴れる子猫はかぷりとキリの腕に噛み付く。キリの色白な腕からぷつりと血が出ていた。
第11班は特例の担当上忍を含めてのツーマンセルということもあって、Dランク任務でキリの様子を見ていたが、ランクを上げても何ら問題はないだろう。
そんな至って優秀な自分の生徒を見る。
シカク(しかしなぁ…)