第44章 敗北
キリ「……今は、あなたよりも後ろの彼に用があるわ」
リー「気持ちはわかりますが、ネジも言うように彼は加減をする男ではありません。そして、彼は下忍の中で最も強い男です」
「危険過ぎます」と、間に入ったリーに、キリは更に声音を強めた。
キリ「そんな心配は要らないわ。負けるのは、私じゃない」
ネジ「口だけは達者なようだな。リー、そこをどけ」
リー「彼女を修業に誘ったのは僕です! 僕抜きで勝手に話を進めないで下さい」
「ちっ、好きにしろ」と、引き下がったネジに、キリもネジからリーへと対象を移した。
キリ「あなたの後で、戦えばいいだけのこと」
「どちらが先でも構わない」というキリの言葉に、リーはピクリと反応を示した。
リー「キリさん、あなたの実力を知りませんが、もちろん僕だって負けるつもりはありません」
そうしてキリと対峙したリーは一礼をする。
リー「では、キリさん。お願いします」
そんなリーと共に、キリも両手を合わせて礼をおこない、二人は構えに入った。
一瞬、あたりが無音になったその時、先に動きを見せたのはリーの方だった。
リー「木ノ葉旋風!!!」
ネジ.ガイ.テン「!!」
リーの回し蹴りを真正面から迎え入れたキリは、くるりと半回転をしてリーの勢いを外へと受け流す。
リー「まだまだ!!」
2、3、4と続くリーの連撃を全ていなしたキリは、ふわりとリーとの間合いをとった。
リー「っ!! やりますね! でも僕だってこれからです!」
ガイ「リー! 待て!!」
その言葉に、再び仕掛けようと足を踏み出したリーの体がピタリと止まった。