第44章 敗北
キリ「ヒナタを、弱いと思ったことはないわ」
そう声を低くしたキリに、ネジは嘲笑を浮かべた。
ネジ「あの程度の人間にそう思うのなら、お前の力量も伺える」
テン「ちょっとネジ! やめなさいよ」
そんなテンテンの制止は効果が見られず、キリとネジの間の空気が張り詰めていく。
ネジ「お前の担当上忍は誰だ」
キリ「……? 第11班、奈良シカク」
脈絡の無い話に、一体それが何だというのだと怪訝に思っていると、ネジは更に薄ら笑いを強めた。
ネジ「そいつも随分とぬるい教育をしているんだな。弱者同士で傷を舐め合いたいのなら、早くここから去った方がいい」
「怪我をする前にな」と、言い捨てたネジをガイが制止する。
ガイ「ネジ! やめろ! 言葉が過ぎるぞ!」
ふん、と鼻を鳴らしてキリから視線を背けたネジに、キリの空気がより一層ピリついたものに変わった。
キリ「シカクさんは優秀な指導者よ。ヒナタだって、弱くない。弱者同士で傷を舐め合っているか……試してみればすぐにわかること」
ネジ「ふん、いいだろう。だが、俺は相手が弱いからといって、手加減してやるほどお人好しじゃない。後から後悔するなよ」
バチバチと二人の間に火花が散って、互いに構えに入る直前だった。
リー「待ってください!」
キリ.ネジ「!!」
リー「キリさん、まず僕の仲間の失礼な言動をお詫びします。すみません。ですがキリさん、ネジの前に僕と戦いましょう」