第44章 敗北
すぐに修練場へと到着したガイ、リー、キリの三人の中の温度差は甚だしかった。
キリ(……この至近距離でなぜ全力疾走を……?)
頭にはそんな疑問が浮かんでくるが、きっといちいち気にしていては駄目だと、なんとか溜飲を下げる。
そして、その後すぐに合流したお団子頭が、キリたち三人の激しい温度差を見て、困ったような笑顔を見せた。
テン「キリ? ちゃんだっけ、私はテンテン。こっちの無愛想な人は日向ネジ。ほんと、あの二人に付き合わせちゃってごめんね」
そう言って眉を下げているテンテンの後ろにいたネジに、キリの視線は留まった。
キリ(日向……やっぱり)
その特徴的な瞳を見た時から思っていたが、やはり彼も白眼の持ち主なのだろう。
キリ「ヒナタの……兄妹?」
ネジ「!」
リー「いえ、兄妹ではありません。ヒナタさんは宗家にあたる人で、ネジは分家の人間です。すなわち、二人の関係は親戚同士になります」
キリ「そう……じゃあ、あなたもヒナタみたいに体術を?」
日向流の体術は木ノ葉で最も強い体術流派だと謳われている。
その流派を、彼も使うのだろうか思っての問いかけだったが、ネジの瞳がスッと鋭くなった。
ネジ「俺を、宗家の落ちこぼれと一緒にするな」
キリ「!」
怒気を孕んで言われたその言葉。今度はキリもネジに鋭い視線を送る。
キリ「落ちこぼれ……ヒナタのことを言ってるの?」
ネジ「それ以外に誰がいる。あの性格、そして力量。あの人は忍に向いていない」