第44章 敗北
緑タイツ達の横にいる、お団子頭のくノ一は呆れたようにそれを見つめていた。
さらに横にいる髪の長い男に至っては、存在を感知していないレベルでの無視を決め込んでいる。
そう、きっとこの緑タイツたちと関わってはいけない。
修業をするにしても、もっとあとから、時間をずらしてくればいいのだ。
よし、そうしようと、キリが踵を返そうとしたところで、緑タイツ大小とは異なる声が上がる。
テン「もういい加減にしてよね、後ろの子も通れなくて困ってるじゃない」
キリ「!」
このまま撤退するつもりだったのに「なんて余計な事を……」と思いながら、キリは来た道を戻るはずだった足を止める。
ちらりとそちらを伺えば、涙に濡れている緑タイツ大小と目があってしまった。
キリ(………想像してたよりも濃い)
眺めているだけではなく、いざ向こうから認識された時のこの濃ゆさ。
すると「すまない」「すみません」と、立ち上がった緑タイツ大小がキリの方へと歩み寄ってくる。
キリ「!」
リー「その額あて、どうやら君も木ノ葉の忍のようですね」
木ノ葉の気高き碧い猛獣のマイト•ガイ、そしてその弟子のロック•リーだと自己紹介をされて、キリも名を問われる。
激しく答えたくない衝動に駆られたが、そんな風に、にかっと笑顔を向けられては、答えない事も憚られた。
キリ「……下忍の、キリです」