第43章 失敗
つらそうに眉を寄せたヒナタは、声を落としていく。
ヒナタ(いつも……失敗ばかり……)
紅班で任務に出れば、いつもいつもキバ、シノ、そして紅に迷惑をかけ続けていた。
だから、任務後は酷く自己嫌悪に陥る。
頑張ろうと。いつか憧れの彼の隣に、自信をもって立てるようにと。
自分で決めた道なのに、うまく出来ない自分が嫌いで仕方なかった。
キリ「それは……」
失敗ばかりなのだと、完全に俯いてしまったヒナタ。
キリは、ちらりとキバとシノに視線を向けてから、小さく口を開いた。
キリ「傷付くことが、怖いの?」
ヒナタ「っ……!」
キリの言葉に、サッと視線を避けたヒナタに、キバは呆れたようにため息をついた。
キバ「忍なんだからあたり前だろーが。そんなことにビビってどうすんだよ」
胸の前でぎゅっと両手を握り合わせたヒナタに、キリも少し前の自分を思い出して、眉を下げた。
キリ「そうじゃない」
キバ「は?」
じゃあなんだというのだと、眉をひそめるキバをよそに、キリはヒナタへと一歩あゆみ寄る。
キリ「自分の判断で、誰かが傷付くことが……怖い?」
ヒナタ.キバ.シノ「!!」
ヒナタの戦い方は、よく身に覚えのあるものだった。
今の自分の動きで、もしキバが負傷してしまったら……そんな考えから前に出れずに、後手後手に回ってしまう。
特に、キバはキバで特攻隊のような、前のめりの戦い方を好む節があるようだ。それで、ヒナタがよりいっそう保守的な対応に出ているように見えた。