第43章 失敗
ヒナタ「キ、キバくん…!」
キリ「ヒナタ、いきましょう」
ヒナタ「で、でもわたし……っ」
失敗ばかりで戦闘の邪魔になってしまう、と眉を下げたヒナタの背中をキリは優しく叩いた。
キリ「大丈夫。私が失敗にはさせない」
……………………………
キリ「16、17……」
あれから、ものの一時間で盗賊団は全員捕獲。そして壊滅となった。
キリは、ぽいぽいと捕縛されている敵を一ヶ所に集めていく。キバは悔しそうに、それを見つめていた。
キリ「21、22、23……24人ね」
シノ「圧倒的だな」
24人。それがキリのサポートを得て、ヒナタが捕まえた敵の数。
対するキバは9人、シノが7人という結果になった。
奥歯を噛んで、キリを睨みつけているキバに、ちらりとシノが視線を向ける。
シノ「圧倒的だな」
キバ「くっ、うるせー! 二回も言わなくても聞こえてんだよ!! 言っとくけどなぁシノ! お前よりは俺のが多いからな!!」
シノ「確かにな。だが、俺は誰の手助けも得ていない」
キバ「っ、くそ! てめぇキリ! 俺ばっかりフォロー入りやがって!」
キリ「……彼は、サポートの必要がなかったから」
戦闘中、キリはヒナタのサポートにつきながらも、五回ほど少し危なっかしい戦い方をするキバの援護に入った。
何も贔屓だとか、嫌がらせだとか、そう言ったことではない。
シノに至っては、まるっきりサポートの必要がないほどの安定感があった。放っておいても何ら問題がなかったため、そうしただけだ。