第43章 失敗
飛び出していったキバの後ろをついて行くヒナタ。
その動きは、ぎこちなさで溢れていて、すぐに敵対していた強盗団の一員が、ヒナタ側から包囲を抜ける。
キバ「ヒナタ! 何やってんだ!!」
ヒナタ「ごめんなさっ……」
シノ「ヒナタ後ろだ!」
ヒナタ「!」
ヒナタの背後から横薙ぎに振るわれた棍棒を、キリは肩で受け止める。
キリ「っ」
ヒナタ「キリちゃん……!」
キリ「大丈夫。問題ない」
そうして、キリの蹴りを顎に食らった男は、そのまま意識を手離して倒れこむ。
キバ「手ぇ出すなっつったろーが」
キリ「従わないと言ったわ」
キバ「チッ、ヒナタ! もういい、お前は下がってろ! 怪我すんぞ」
ヒナタ「う、うん」
戦闘が始まってから、ミスを連発しているヒナタ。戸惑いながらもキバの言葉に従おうとしたところで、キリはヒナタの腕を掴んだ。
キリ「下がらないで、私がつく」
そんなキリを見て、キバはくっと険しい顔つきになる。
キバ「この班のリーダーは俺だ、でしゃばんな」
シノ「待てキバ、俺はリーダーがお前だと認めーー」
キリ「あなたよりも、ヒナタの方が敵を捕らえられる」
キバ「あぁ? んなこと出来るわけねーだろ」
シノ「俺はリーダーをお前にーー」
キリ「出来る。ヒナタを下げる必要なんてないわ」
シノ「……………」
キバとキリの間に張り詰めた空気が流れ、そんな二人を交互に見ては困惑しているヒナタと、発言を遮られ続けて拗ね気味のシノ。
キバ「おもしれぇじゃねーの。やれるもんならやってみやがれ」
そう鼻を鳴らして、キバは敵群の中へと駆けていく。