第42章 誤解の連鎖
シカマルと二人きりで、ヒナタは大丈夫だろうか。
ヒナタもシカマルに対して、印象は悪くないようだが。
キリという中立な立場が抜けて、慣れない相手と二人になるのは、ひどく緊張してしまいそうだが。
すると、キリの視線に気付いたヒナタからすぐに、視線を送り返される。
ヒナタ(だ、だいじょうぶ……)
キリ(うーん……)
少々、気がかりではある。
しかし、先ほどまでの修業の様子を見ていても、この二人の相性は悪くないようだったの。
ヒナタ本人もそう言うならと、キリはこの場を後にする。
スタスタと去っていったキリと、この場に残ったシカマルとヒナタの間に、ふと微妙な間が出来る。
シカ「あー、今日は悪かったな。邪魔しちまってよ」
ヒナタ「! え、えっと、わたしは全然……っ」
ただ強さを求めて、ひたむきな鍛錬を行うキリとヒナタ。
シカマルも修業中に、手を抜いたつもりはない。
しっかりと真面目に取り組んではいたが、修業とは違うベクトルでキリについてきたことに、少々心が痛む。
キリが去ってから、少し落ち着かない様子のヒナタは、そわそわと視線をあたりに漂わせながら口を開いた。
ヒナタ「でも、その……少し意外だった、かも」
シカ「あ? なにがだよ?」
ヒナタ「あ、その……」
シカ「?」
そう少し言いづらそうに口ごもるヒナタに、シカマルは「どうした?」と、続く言葉を待った。
ヒナタ(……キリちゃんが言ってた通り)
昨日、キリがシカマルを含めた合同での修業を提案してきた時。
ヒナタは自分がいてはシカマルが嫌がるのではないかと言ったが、キリはそれを否定した。