第42章 誤解の連鎖
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とことこと鈍足な足取りで修練場へ向かうキリは、先ほどのシカマルの様子に、少々頭を悩ませていた。
今日は、以前ヒナタと約束をした修業の日。
だから、シカマルの誘いを断ったのだが、それに対して何度も食い下がるシカマルの姿が思い返される。
……シカマルは、そんなにも修業がしたかったのだろうか。
そんなシカマルを見て、一緒に修業を行うことも少し考えはした。
しかしだ。互いに悪く思っているわけではないだろうが、ヒナタとシカマルがアカデミーで仲良くしているところは見たことがない。
おそらく、キリがシカマルを連れていったとしても、ヒナタの性格上、駄目だとは言わないだろう。
だが、ヒナタがシカマルに対してひどく気を遣っている様が容易に想像出来る。
全てを踏まえてやはり、勝手にそのようなことはするべきではない、という結論に至った。
それに、キリもヒナタとの約束を楽しみにしていたことも事実。
ヒナタと友人として約束し、会うのは初めてなのだ。キリとヒナタ、二人の方がいいだろう。
キリ(でも……)
どうにも、シカマルの普段とは異なるあの態度が気になって、キリはピタリと足を止める。
いや。
いやいやでも、止まったところで、連れてはいけないのだから、仕方がない。
そんな自問自答を繰り返して、キリは再び修練場へ向かう。