第42章 誤解の連鎖
第42話 誤解の連鎖
ヨシノ「キリはご飯が終われば、また修業かい?」
もぐもぐと朝食の玉子焼きを頬張っているキリに、ヨシノは問いかけた。
キリ「はい、今日はすぐに出ます」
ヨシノ「そうかい。気をつけるんだよ」
キリ「ありがとうございます」
食事を終えたキリは、自室に戻ると忍具を片手に、修練場へと向かう準備をする。
そして玄関で靴を履いていた時、シカマルから声がかかった。
シカ「キリ」
キリ「!」
シカ「俺も修業一緒にいいか?」
シカマルの声に、キリはぴたりと動きを止める。
いつもはこのまま、一緒に修業に向かうことも多いのだが、今回はそういうわけにはいかなかった。
キリ「ごめんなさい、今日は約束があるから」
シカ(っ……!)
もしかして、それは前にも言っていたキリの【会いたい人】 との約束なのだろうか。
そう思えば、シカマルの心臓がどくりと嫌な音を立てた。
「また次の機会に」と言って、家を出ようとするキリ。その後ろ姿に、シカマルの胸には焦燥が募る。
シカ「っ……それ」
背後から聞こえた声に、キリは再び振り返った。
シカ「それ、俺もついてったら駄目か」
キリ「!」
一度断られているのに、何を言っているのだと、自分でも思う。
それでも、キリがそいつと仲良く修業をしているところを想像すると、内側の方でザワついている感情を抑える事が出来なかった。
キリ「あ……その、ごめんなさい」
拒絶の言葉に、心臓が掴まれたかのようにぎゅっと締めつけられて、ずきずきと痛みを伴わせた。