第41章 弱み
しかし、もともと体術に特化しているキリではあるが、刀を手離した時の戦力ダウンは、ひっ迫した戦況では大きな影響が出ることがわかった。
シカ「お前が予備で刀二本、持ってりゃいけたな」
キリ「……予備……考慮する」
「冗談だっての」と、おかしそうに笑うシカマルに、キリも少し目を細めて返す。
シカ「あれだな、とりあえず次はもう一個の方の作戦でいくか」
キリ「ええ、次はしとめる」
シカ「おう、頼むわ」
…………………………
そんな、目の前で行なわれる本日の反省会を見ながら、シカクはぽりぽりを頬をかいた。
シカク(おいおい、まじかよ)
シカクがキリに捕まるのと、シカマルが影分身に捕まるタイミングはほぼ同時だった。
あのままキリがシカクを倒すことに重きを置けば、それは成功していただろう。代償にシカマルは戦闘不能になったいたが。
討破と庇護を天秤にかけた時、キリが後者を選んだだけの話だ。
今朝までは、ずっと二の足を踏んでいたキリの急成長ぶりに、シカクは驚きを隠せずにいた。
シカク(一歩前進どころか、一足飛びに伸びやがった)
教え子の嬉しい誤算に、シカクは喜ばしく思う。
そしてつくづく、子どもの成長とは予測不可能で、こちらの考えを遥かに超えてくるものだと、実感する。
その中でもひときわ驚くべきことがある。
キリが、現時点でまだまだ粗削りの原石であることだ。
キリが来てから十ヶ月を越えたが、伸び続けるその能力の終着地はどこにあるのか。
シカク(一体どこまで強くなるのか……楽しみで仕方ねぇ)
まだしばらく、この原石の目標であるためには、シカクもうかうかしてはいられない。