第41章 弱み
後方を狙いながら、あわよくば本体のシカクも仕留めようとするキリの抜け目の無さを心の中で称える。
シカ「キリ、悪りぃ」
木に刺さったキリの刀を抜いて、シカマルはそれをシカクの影分身へと構え直す。
シカク「!」
そしてシカマルは、シカクの構えているクナイを刀で斜め下に打ち落として、即座にシカクに打突を繰り出した。
ガキンッとそれをクナイで受け止めたシカクとシカマルは、ギリギリと互いに刃を合わせる。
シカク「おいおい、お前いつの間に刀の扱いなんて覚えてんだよ」
シカ「鬼みたいなコーチがいるからな」
そういったシカマルの瞳が、どこか遠い目をしていた。
よほど厳しくしごかれたのだろう。その様子が簡単に想像出来て、シカクは苦笑いをもらす。
キリ「ぐっ……」
左肩にもらったシカクの蹴りの勢いを吸収しきれなかったキリは、バランスを崩した。
更にシカクが反対方向から蹴りを追撃しようとすれば、キリは崩れた体勢から下、中段とシカクに正拳突きを放った。
シカク「!」
シカク(そこからも出せるか、つくづくキリの戦闘センスには驚かされるな……)
蹴りを中断して、キリの拳を払うと、そのまま横に倒れ込んだキリは受け身をとって立ち上がる。
シカク(させねぇ)
キリが立ち上がる前に終わらせる、と踏み出した右足が突如、土に覆われた。
シカク(っ!! これは、シカマルか!)
右足をがっちりと拘束している高さ30センチほどの土の山。
それは先ほどから、シカマルが連発していた土遁の術と同じものだった。
シカマルの方へ視線を送れば、目が合ったシカマルが口角を上げる。
シカク(あいつ今までの術はこのために……!)