第41章 弱み
集中時のキリの抜刀の速さは、上忍のシカクでも油断をすれば見えない時がある。
そして、今。
これまで見た中で一番の速さを出してきたキリに、ひやりと肝が冷えた。
間合いをとろうと、シカクが後ろへ下がれば、それ以上に距離を詰めるキリ。
シカク(速えな。よし、来い! キリ……!!)
キンキンと激しく鉄がぶつかり合い、シカクとキリの間では、熾烈な争いが繰り広げられる。
キリ「はぁっ、っ、はっ」
シカク「どうした? ずいぶん息が上がってんじゃねーか」
キリ「っ……!」
ひゅっと横に払ったキリの刀を、シカクは少し顔を傾けるだけで回避する。
シカク「そんなんじゃ俺には当たらねぇぞ?」
にやりと笑みを浮かべている表情とは裏腹に、内心では驚きを隠せずにいた。
シカク(まだ速くなんのかよ)
シカマルの事もあり、短時間で決着をつけるつもりでいるキリが、先ほどから急激に勢いを増していく。
上がり続けるスピードに、だんだんとこちらも手が抜けなくなってきた。
すると、刀を持ち替え、キリはシカクめがけて、まるで遠投のように刀を投げつける。
シカク「!?」
いったい刀を手離してどうするつもりだと、半身をひねって刀を避けると、それは後方にいるシカクの影分身に標準を合わせていた。
シカク(狙いは後ろか……!)
気付いた影分身が刀を避けたことで、距離を詰められていたシカマルとの間合いが広がった。