第41章 弱み
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俯いているキリを見て、シカマルはゆっくり息をつく。
シカ「お前、普段そんな戦い方しねぇだろうが」
ここしばらく。上手く出来ない事で迷惑をかけていると、落ち込むキリに、何度謝罪されたことだろう。
シカ「ほら、傷見せろ」
キリの手を取ると、痛々しい傷がいくつもあった。それは手だけでは済まない。
普段はうまくダメージを軽減させているキリの、アザと傷だらけになっている体を見て、ため息をもらした。
シカ「なぁ、俺ってそんなに信用ねーのかよ」
キリ「!」
シカ「俺だって忍なんだからよ。毎回こんな風に俺を庇って、ぼろぼろになられちゃさすがに俺も傷付くっての」
キリ「そんなつもりは……」
眉を下げたキリに、シカマルは傷薬を塗ると、くるくると包帯を巻いていく。
シカ「後ろ庇って、お前が潰れてりゃお前のサポートについてる意味ねぇだろーが。それに、キリがやられた後はどうすんだよ?」
俺一人で戦うのかと言えば、キリはぎゅっと奥歯を噛んで、視線を落とした。
キリ「ごめんなさい」
そんなキリを見て、あー、っとシカマルはがしがしと頭をかいた。
シカ「別に怒ってるわけじゃねぇ。ただ、お前が誰かが傷付くのが嫌だと思ってんのと同じように、俺もキリが傷付いてんの見て平気なわけじゃねぇ」
キリ「!!」
シカ「それに、あいつと組んでる時はもっとやりやすそうだったじゃねーか」
キリ「あいつ……? イチカ?」
シカ「おう。でも俺は、今でもお前はぜってー前衛の方が活きると思ってんだよ」
もう怪我をしてるとこは無いかと確認すれば、こくりと頷いたキリを見て、シカマルは立ち上がる。