第41章 弱み
キリが、今の状況をどうにかしなくてはいけないと思っていることは、痛い程に見てとれるのだが、それ以上の変化がない。
戦闘センスも突出していて、勘の良いキリが、ここまで苦戦する理由は一体なんなのか。
シカク「いつもは文句のつけようがねぇぐらいしっかりやれてんだ。今はお前の事を責めてるわけじゃねぇが、何で出来ねぇんだ?」
「お前ならどうすればいいか分かるだろう」と、問いかければ、キリは沈黙の後にゆっくりと口を開いた。
キリ「…………もう、誰も失いたくありません」
シカク.シカ「!!」
小さく落とされたその言葉に、シカクは一度顔を歪ませてから、ぐしゃぐしゃとキリの頭をなでる。
シカク「一旦休憩をはさむ。……キリ、もう一度共同戦の意味をよく考えろ」
「一度本部に顔を出してくる。戻ったら再開する」と告げて、シカクはこの場を後にする。
【もう誰も失いたくない】
これもまた、多くのものを失ってきたキリが背負っている傷なのだろう。
シカク(だが……)
キリの戦闘能力なら、いずれ下の者を引き連れて、キリを先頭に、強者と戦わなくてはならない日が必ず来る。
シカク(その時にこんな戦い方してりゃ、まず真っ先に命を落とすのはキリだ)
担当上忍としても、仲間としても、こればっかりはそのままにしていられない。