第11章 上忍様のひと声で
第11班の担当上忍が来るとのことで、キリは一人そこで待機していた。
そして、すぐに待ち人は現れることになる。
キリ「あ……」
シカク「よぉ、お嬢ちゃん。久しぶりだな」
あの時、迷子の鹿の一件で出会った奈良シカマルの父親。奈良シカク。
彼は、にかっと笑って右手を上げた。
シカク「あん時はうちのバカ息子が悪かったな」
キリ「…いえ、その件については本人とも話が済みました。……あなたが、私の担当上忍の方ですか…?」
シカクは「そうかそうか」と頷いた後に、にっと口角を上げた。
シカク「そうだ。今日からお前につく事になった。第11班の担当上忍にあたる奈良シカクだ。よろしくな」
キリ「…キリです。すみません」
イルカは、第11班がキリが来たことによっての特別処置だと言っていた。
とすれば、本来は第11班の担当ではなかったはずで。この人はこれから木ノ葉でもない、他里出身のキリ一人につかなくてはならないのである。
途端に申し訳なさがこみ上げる。
そんなキリに、「あ?何を謝ってんだ」とシカクは首を傾げていた。
シカク「キリ、お前の実力や知識、色々試して知らなくちゃならねぇんだが、まずは……行くぞ」
キリ「!?」
ガシッとキリの腕をつかんで、歩き始めたシカクに慌ててついていく。
キリ「ど、どこへ行くんですか」
早足で進むシカクになんとかついていけば、彼は顔だけを振り向かせて笑う。
シカク「俺の家だ」
キリ(…………意味がわからない)