第40章 はじめての
これでも好きな女の前で頑張っているのだから、その辺りはそっとしておいてほしい。
シカマルは、この役割分担にいまだ納得のいっていない様子で、隣を歩くキリをチラリと盗み見る。
〈この間、誰に会いに行ったんだ?〉
ずっと頭の中にある考えに、シカマルは顔を歪ませた。
シカ(……んなこと聞けっかよ)
キリが休みの日に誰に会いに行こうが、そんな事はキリの自由で、シカマルが干渉するような事ではない。
それに、相手が男であると決まっているわけでもない。
今までのキリを見る限り、同期やそれ以外の男と特別関わりがあるような素振りは一切なかった。
男であったとしても、大方、世話になっている三代目やカカシあたりが妥当なところだろう。
シカ(………)
せめて、男か女かだけでも……そんな考えが頭をよぎって、シカマルはそれを振り切るように頭を振った。
シカ(あーくそっ)
こんな女々しい考えを持っている事に苛立ちを覚えて、無理やりにでもそれを頭の中から消し去ろうと、話題を変える。
シカ「あー、キリ」
キリ「? はい」
くるりと振り向いたキリと、しっかり目が合って、速まりかけた鼓動の音に気付かないフリをする。
シカ「このあと、修業までなんか予定あんのか?」