第39章 交わされた約束
もしこの二人を会わせたら、少々お転婆で勝ち気なイチカに押されて、たじたじになっているヒナタの姿が容易に想像出来て、つい表情が緩んでしまう。
そんなキリの表情の変化に気付いたのか、ヒナタは小さく首を傾げた。
ヒナタ「キリちゃん、なんだか楽しそう……?」
キリ「ごめんなさい、少し樹の里の友人を思い出してた。私を訪ねて、この里に来てくれて……先日まで一緒に居たの」
ヒナタ「!」
ヒナタ(キリちゃんのこんな顔……初めて見た)
まるで何かを慈しむような、愛おしそうな、そんなキリの表情に同性ながら思わず見惚れてしまう。
ヒナタ「キリちゃんは……その人のことが、す、好きなの……?」
どきどきしながらそう問いかければ、頷いたキリからは優しい眼差しが向けられる。
キリ「大好き……とても、大切な人」
ヒナタ「!! そ、そうなんだ」
少しも隠すことなく、直球で返された答えに、ぼっとヒナタの顔が赤くなる。
ヒナタ(そっか……キリちゃんに好きな人が……)
ヒナタ「ど、どんな人か、聞いてもいい……?」