第39章 交わされた約束
ヒナタ(でも……このままじゃ、だめ……)
もともと、あの演習試合の結果はキリが悪いわけではない。それなのにキリが気に病むなんてあってはいけないことだ。
だから、自分はきちんと伝えなくてはいけない。
せっかく出来た友人を、失うことになっても。
ヒナタ「キリちゃん、わたし演習試合でのことはーー」
キリ「わかってる」
覚悟を決めたヒナタがぎゅっと目をつむって口にすれば、それはふわりとキリの柔らかな声に遮られた。
キリ「……わかってる」
キリは、今日何度目かわからないヒナタの呆気にとられた表情を見つめる。
キリ(償いなんて、あなたが求めてないことはーー)
全て、彼女の深い優しさであると。
言われた時こそ戸惑ってしまったが、ヒナタの性格を思えば、なぜ彼女があのような事を言い出したのか、誰に言われずとも理解出来た。
ヒナタ「……っ……ありがとう」
少し頬を染めたヒナタから控えめに言われた礼と共に、はにかんだ笑顔を向けられる。
木ノ葉隠れの里の友人。
新しく築くことが出来た関係に、キリの心が温かみを感じる。
キリ(イチカに……紹介したいな)
イチカは何というのだろうか。喜んで、くれるだろうか。
きっと〈言っとくけど! キリの一番の親友は私なんだからねっ!?〉と少し拗ねたようにそう言って、そして誰よりも祝福してくれるのだろう。