第39章 交わされた約束
キリ「それよりも私の方が謝らないと……。私が来た事であなたが悪く言われるかもしれない。本当にごめんなさい、軽率だった」
そう言って頭を下げたキリに、ヒナタも慌てて頭を下げた。
ヒナタ「そ、そんなこと全然っ、わたしの方がせっかく来てくれたのに嫌な思いをさせてしまって、ごめんなさい」
キリ「私は何も聞いてない。だから、あなたの方が……」
ヒナタ「違うの、わ、わたしの事はいいの。でもキリちゃんが……」
そんなやり取りをしばらく続けて、二人が互いに同じことを言い続けているのに気付くと、ハッと顔を見合わせて苦笑する。
ふぅ、と一つ息をついて、キリはヒナタを見据えた。
キリ「今日は、あなたに言いたいことがあってここに来た」
ヒナタ「っ! ……はい」
キリの空気の変化に、ヒナタも背筋を伸ばして、キリを見つめ返す。
キリ「……ありがとう」
ヒナタ「!!」
ヒナタは一体何を言われるのだろうと、どきどきと手に汗をにぎっていれば、予想外の言葉が向けられて、目を丸くする。
キリ「前に……あなたが私を訪ねて来てくれた時のこと、覚えてる?」
キリの問いかけの答えは、もちろんだった。
ヒナタはあの日からずっと、どうしようどうすればと、悶々とした日々を過ごして、一日足りとも考えなかった日はなかった。
キリ「あの日、約束を……したでしょう」
〈約束〉という言葉に、ヒナタの体がびくりとすくむ。