第10章 班決め
キリ(直接身に付けているわけではないから…許して)
それが私を厭う人達へ、今の私が出来るせめてもの形であった。
ベルトに巻いた額当てを見て、キリは小さく息をつく。
そして、アカデミーへと向かった。
アカデミーの卒業試験に合格した者は、教室へ集まるようにイルカから指示があったのだ。
ドアを開けて教室に入れば、既に人が揃っている。額当てに悩んでいる間に、ずいぶん時間が経っていたようだ。
忍者学校であるアカデミーを卒業し、一人前の忍になったみんなは、どこか誇らしげな様子で。胸を張れない自分と比べると、ひどく輝いて見えた。
浮ついた空気を締めるように、教壇にいたイルカが「静かに」と元生徒を嗜めながらパンパンと二度と手を叩く。
今からは、今後下忍として活動をしていくための班を決めるらしい。
イルカからそう説明があり、くノ一が一人立ち上がる。
「やだっ、私あの子と班なんて組めない!!」
『あの子』というのは、向けられる視線からしても、私のことを指しているのだろう。
他からも「確かに」「私も」など、みんながその意見に賛同をしている。その中でひとつ、控えめに手が上がった。
ヒナタ「わ…、わたし……キリちゃんと一緒にやります」
キリ「!!」
下を向いて、決して大きくない声であったが、確かにそう聞こえた。
ざわざわとざわめくみんなの注目を浴びて、さらにヒナタの体が小さくなっていく。
キリ(目立つような…そんなこと得意じゃないでしょう)
キリは、アカデミーで過ごすヒナタの姿を思い返す。
勤勉な彼女は、問題の答えが分かっていても、自ら発言などしない。
あがり症なのか、目立つことや注目を集まることが苦手な子だと、認識していた。