第38章 嵐のさったその後で
ヨシノ「お茶、淹れようか。シカマルあんたも飲むかい?」
シカ「おう」
しばらくして、ことりと目の前に置かれた湯呑み。
シカク「飲んだら俺たちも少し寝るか」
ふぁーと大きなあくびをしたシカマルもそれに頷くと、ヨシノはじっと湯呑みの中で揺れる茶を見つめる。
ヨシノ「キリ……明日元気だといいね」
シカク「……だな」
シカ(俺が……あいつを支える)
いつか、誰かキリの支えになるような人物が現れる事を願った。
だが、イチカが現れた時。
キリの隣が〈自然〉なイチカを。
「大切な人」だと、キリ本人から言われるイチカを。
心から羨ましく思った。
それと同時に、誰かではなく、自分がキリのそばにいたいのだと、強く実感もした。
そんな羨望と嫉妬から、イチカには何かと噛みついてしまったが。
彼女はシカマルに言った。
「キリをよろしく頼む」と、常に勝ち気で高飛車な態度を崩さないあのイチカが……頭を下げた。
木ノ葉にいる間、イチカがキリを。キリがイチカを。どれだけ大事に思っているかはすぐにわかった。
きっと、イチカはキリのそばに居たかっただろう。
隣に居たいと強く思っていたのは、シカマルだけではなかったはずだ。
そんなイチカが誰かに託していくことが、どれだけの想いだったのかがシカマルにも痛いほどにわかる。
親友の想いも受け取って、シカマルは強く心に誓った。
シカ(誰かじゃねえ、俺が……)