第38章 嵐のさったその後で
確かに、二人の言うことは間違っていない。
今まで、どんな事があっても「悲しい、辛い」と表に出さず、涙を堪えていたキリが、その感情を吐き出せるようになったことは、進歩だと思う。
しかし、何時間にも及ぶ懺悔。
おそらく、樹の里の住民であろう名を呼んで、ひたすらに繰り返される謝罪の言葉。
その中には、かつて木ノ葉でその命をもってキリを守った、フミの名もあった。
シカ(……くそっ)
キリの後悔と自責の念が、痛いほどに伝わって……聞いているこっちがたまらない思いだった。
もう一度、深くため息をついて、シカマルは立ち上がる。
昼過ぎにキリの異変に気が付いてから、今まで。
もちろんキリもだが、シカマルも何も口にしていなかったため、とりあえず何か飲み物をと思い、一階へと降りる。
ずっと同じ体勢でいたため、固まってしまった肩を鳴らしながら居間に入る。
シカ「!」
すると、そこにはシカクとヨシノの姿があった。
普段とは異なる重たい空気。
シカマルの存在に気付いた二人は、パッと顔を上げる。
ヨシノ「シカマル」
シカク「キリは……どうだ?」
シカ「ん、やっと落ち着いたみてぇ」
「多分、今は寝てる」と言えば、シカクとヨシノがホッと胸をなでおろしたのが分かった。
今は黙って見守るべきだと判断したとはいえ、二人も気が気ではなかったのだろう。