第38章 嵐のさったその後で
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夜明けが近づいてきた頃、シカマルに静寂が訪れた。
聞こえていた嗚咽と謝罪の言葉が止まる。
シカ(……寝たか?)
耳をすませてみても聞こえてこないそれに、シカマルは大きく……ゆっくりと息をついた。
シカ「はーーー……」
イチカを見送ってから、キリは声を抑えてはいたが、酷く泣きじゃくりながらの謝罪をずっと続けていた。
昼過ぎから始まったそれが、ようやく止まったのは深夜をとうに超えてからだった。
あと数時間もすれば、朝になるだろうという現時刻。
シカマルは、壁にもたれかかっていた体をずるずると滑らせる。
一枚、壁を挟んで隣にいるキリ。
この壁の向こうにキリがいて、こんなにもつらそうに泣いているのに、何もしてやれない自分が酷く無力でもどかしかった。
その途中、シカクとヨシノも一度様子を見に来たが……。
キリが泣けるようになったこと。
やっと感情を出すことが出来たことは良いことだと。
今はキリの中で、気持ちを整理する時間が必要だろうと。
シカクとヨシノは、後ろ髪をひかれながらも、再び下階へと降りていった。
シカ(そうかも知れねぇけどよ……っ)