第38章 嵐のさったその後で
キリの胸に刻まれた言葉たち。
【この子はうちで引き取りましょう。
大丈夫、木ノ葉はいいところだよ。何かあったら言っておいで】
カカシ。
【俺は……お前にこの里にいてほしいと思ってる】
シカマル。
【少しでいいから自分を許してあげて】
ヒナタ。
【キリが何をしても、どこにいても、何年経ったってお前は俺の自慢の生徒だ】
シカク。
【……キリ、大好きよ。これからは自分のために生きて。自分の人生を歩んで】
イチカ。
キリ「………っ」
悪いことばかりだったなんて、とても言えない。
自分には、勿体無いぐらいの温かさをいつももらっていた。
多くの人には認めてもらえないかもしれないが、こんな自分に、もう一度……命を与えてくれた人たちがいる。
キリから、ぽたりと涙が落ちた。
キリ「ごめ、っんなさい、ごめんなさい、っ、うっ、く、イチカ、みんな、ごめんなさい」
無意識にギュッとこぶしを固める。
キリ「おか、あさん…おとうさん…! 本当に、ごめんなさっ…っ、ごめんなさい」
次から次へと流れる涙が、キリの衣服の色を変えていく。
キリ「ごめんなさい……っ」
生きることを、謝るのはこれで最後にしよう。
もうキリにはなかったはずの道が出来て、これからどうすればいいのか、どうしたいのか、正直自分でもわからないが。
それでも、今はとりあえず……精一杯毎日を生きていこうと思った。