第37章 長所と短所
………………………
ーー二人の別れの時ーー
イチカ「ありがとう、キリ」
木ノ葉の門の前。
キリとシカマル、シカクの三人は故郷の樹の里に帰るイチカの見送りに来ていた。
イチカ「おじさまも! とても楽しかったです。ありがとうございました! ………ついでに、あんたも」
にこりとキリとシカクに笑顔を向けていたのに、シカマルを見るなり視線が冷たくなったイチカに、シカマルは苦笑いを浮かべた。
イチカ「~~~っ、キリー!!」
そして、イチカはぎゅっとキリを抱きしめると、キリもふわりと抱きしめ返してくれた。
イチカ(もうっ! 本当に嫌だ、一緒に居たいのに…っ)
木ノ葉に滞在中、キリを樹の里に連れて帰れないのならイチカも樹の里から木ノ葉隠れの里に移住してしまえばいいのでは……と、結構本気で悩んだ程にはキリのそばに居たい。
しかしイチカは樹の里でやるべき事があるのだと、自分に言い聞かせてはいたが、やはり別れとなると寂しさが波のように押し寄せる。
それでも、いつまでもこうしているわけにもいかない。
名残惜しいが……本っ当に名残惜しいが、名残惜しくてたまらないのだが。
イチカは泣く泣くキリの体を離した。イチカがキリの顔を見つめれば、綺麗な青の瞳に自分がうつる。
以前とは……樹の里にいた頃とは違うキリの雰囲気と表情。
結局、イチカがいる間にキリが笑顔を見せた事は一度もなかった。