第37章 長所と短所
上忍の自分から見ても良い手だと感じるものが多くあった分、見ているこっちがもどかしくて仕方がなかった。
しかしだ。互いがどこまで出来るのか、そんな手探り状態の二人は、まだまだ未完成で伸びしろがある。
シカク(あとは……シカマルは死ぬ気で特訓、だな)
今回の二人の穴となったのはシカマルだ。
イチカペアでは、キリが優秀な事は勿論。更に前のめり過ぎるイチカの穴を突かせないようにキリがフォローをしていた。
イチカはもともと完全な近距離戦に特化したタイプで、キリと背中を合わせて戦う事が出来るが……。
シカク(今シカマルがキリの隣に立っても、キリの速さについていこうとするのに精一杯で、合わせる所の話じゃねぇからな)
だが……。
初めてのツーマンセルで、一度だがシカクをヒヤリとさせたキリとシカマル。
シカク(この二人が信頼し合って背中を合わせる日が来れば……)
その未来を想像して、ぞくりと背筋が期待と歓びに震えた。
シカク(間違いねぇ。こいつら将来化けるぜ)
あと何年もすれば、二人とも見違える姿になっているだろう。
シカク(……歳をとるのも悪くねぇな)
次世代を担う子どもたちの成長を目の前で見守る事の出来る喜び。
それをゆっくりと噛み締めながら、シカクは口角を上げた。