第37章 長所と短所
キリ「シカク……さん」
シカ.イチカ「は?」
シカク「!」
3人の視線がキリに集まる中、シカクはにやりと笑みを浮かべた。
シカク「まあ、確かにキリは前衛も後衛も器用にこなすからな。イチカちゃんとシカマル、どっちの方が正解でどっちが間違いだとは言えねえ」
シカク「だからこそ、その状況に応じて攻守いつでも交代出来る俺が、キリにとって一番やりやすいって事だな」
「いやー悪いな二人とも」と、言葉とは裏腹に満足気な様子のシカクに、シカマルとイチカはこの返答に納得しかねるのか不満そうな表情を見せる。
ちらりとシカクがキリを見れば、少し申し訳なさそうにしているキリと目が合った。
シカク(まあ、こう本人の目の前じゃ、どっちかを取るなんてキリには無理だろうな)
そんな心優しい彼女の逃げだったのかも知れないが、まさか自分が選ばれるとは思っていなかったので内心まんざらでもない。
シカク(今、キリがやりやすい相手となると……圧倒的にイチカちゃんだな)
イチカ.キリのペアでは、イチカが先頭を陣取り、キリが状況に合わせてイチカの隣や後方から支援をする形をとっていたが、非常に勢いのあるペアだった。
さすが幼い頃から共に生活をしていただけあって、息が合う、もしくは呼吸が揃うと言ってもいい。
互いをよく知るからこそ出来る、絶妙なまでのタイミング。