第37章 長所と短所
樹の里には上忍や下忍といったランク分けが無く、一口に〈忍〉になる。
それ故に、上忍と聞いても実力がわからず、それを知るにはこの方法が一番手っ取り早いと思ったと、イチカからもう一度深く謝罪を受ける。
シカク「ははっ、気にしちゃいねぇよ」
そうシカクが笑い飛ばせば、イチカだけではなく、キリもまた安心したように小さく息をついた。
そんなシカクの後ろで、シカマルがぼそりと小さく呟いた。
シカ「凶暴な女……」
その言葉に素早い反応を見せるイチカ。
イチカ「なんですって!? ちょっとあんた! 聞こえてるわよ!!」
シカ「試すっつても、いきなり背後から襲いかかる事ねぇだろーが」
イチカ「だから最初はちゃんと訓練用のクナイにしたじゃない。当たったところで死にやしないわよ」
シカ「そういう問題じゃねーっての」
ぎゃーぎゃーと言い合う二人に、くつくつとシカクは愉快そうな声をもらした。
シカク「女の子はこれぐらい元気があった方が可愛くて良いじゃねぇか」
イチカ.シカ「!!」
イチカ「おじさま…!! あんたも自分のお父様を少しは見習ったらどう!?」
シカ「あー……ったく、めんどくせーな」
イチカ「面倒とは何よ!!」
そうしてまたイチカとシカマルの言い争いが始まった中、はたから見たらわからないレベルではあるが、キリの表情にほんの少し影が落ちていた。