第37章 長所と短所
イチカ「っ!! ……はい、満点です」
イチカ(バレてたのね……)
眉を下げて少し申し訳無さそうなイチカに、シカクはまた声をあげて笑った。
シカク「ははっ、そりゃあ良かった」
キリ.シカ「どういうこと(だよ)?」
シカク「ま、イチカちゃんはキリの担当上忍である俺の実力を試したかったってこった」
シカク(しかしまぁ……樹の里は優秀な忍が多いな)
イチカの襲撃は、ほんの一呼吸ほどの出来事だった。
手合わせをしてわかったが、おそらくイチカもキリ同様に薬物投与での能力向上をはかっているのだろう。
シカク(その辺の下忍じゃ相手にならねぇぞ)
女性に生まれた事で、男と比べた時にどうしても浮き彫りになってしまう筋力差と身体能力。
かの伝説の三忍である綱手は、それをチャクラコントロールによって補い、男も敵わぬ怪力を手に入れているが……。
それをキリとイチカは地力で獲得している。
シカク(速さ、パワー共に充分だ)
さすがに長く忍をやっているシカクが負けることはないが、実際、現段階でシカマルがキリと力業で押しあえば、九割五分シカマルの勝ち目は無い。
シカク(こうなるまでに……どれだけの無茶を……)
まだ会ってほんの少ししか経っていないが、明るく愛嬌のあるイチカもまた、幼き頃から多くの苦渋を味わって来たのだろう。
まだ幼さの残る少女達を慮っていれば、イチカはシカクにぺこりと頭を下げた。
イチカ「すみません。失礼な事をしてしまって……」