第37章 長所と短所
シカク「おっ、何かと思えばキリじゃねぇか」
キリ「っ!! シカクさん」
「朝から急にすみません、」と、頭を下げるキリにシカクは笑顔を向ける。
シカク「んな事は構いやしねーよ、隣の女の子はイチカちゃんか?」
キリ「はい、彼女が樹の里の……私の大切な友人です」
その言葉に、きゅんと胸を高鳴らせたイチカと、シカクもまた微笑みを浮かべる。
愛おしそうに二人がキリを見つめ、穏やかな空気が一帯を包んでいる中で、イチカはハッと我に返って首を振った。
イチカ「はじめまして、樹の里から来ましたイチカです。キリとは幼馴染みで小さな頃から一緒に育ちました。今日は、キリがここでお世話になっていると聞いたので是非ご挨拶をと……」
キリッとしたイチカのよそ行きな挨拶を聞いて、シカクはにこりとキリに笑顔を向ける。
シカク「なんだ、友達を紹介しに来てくれたのか、キリありがとな」
ぽんぽんとキリの頭をなでてから、シカクはイチカへと向き直る。
シカク「奈良シカク。木の ノ葉隠れの里の上忍で、今はキリの担当上忍をやってる」
シカク「昨日キリから少し聞いちゃいたが……イチカちゃん、話通り可愛い子だな」
にっと笑って、よろしく。と握手を求めるシカクの手に、イチカも自らの手を合わせる。
イチカ(あらやだ……)
「せっかくお友達が来てくれてんだ、母ちゃんも呼んでやらねぇと」と、玄関に戻ろうとしたシカクの背を見ながら、イチカは小さくキリに耳打ちをする。
イチカ「……素敵なおじさまね」
それにキリもこくこくと何度も頷いて、同意の意を示す。