第36章 決別
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ーーその後の二人ーー
イチカ「こんなところにいたの、あんた」
シカ「!!」
キリと話している時、どこからともなく現れて、いつの間にかその姿を消していたシカマルのもとへ、イチカは忍び寄る。
そんなイチカの突然の登場に、シカマルはびくりと肩を竦ませた。
シカ「おまっ……もっと普通に声かけろよ」
そして、そのまま寝転がっていた体を起こすと、シカマルはあくび混じりにゴキゴキと肩をならした。
シカ「仲直り、出来たのかよ」
イチカ「……まあ、おかげ様でね」
「あんたの力を借りたなんて癪だけど」と、不本意そうにイチカが言えば、シカマルはくつくつと笑いをもらした。
イチカ「私、キリが……無事かどうか心配でここに来たのよ」
シカ「だろうな」
イチカ「……あんたは、なんでそれがわったの」
キリに酷い言葉を投げかけた後も、この男はそれがわかっている様子だった。
シカ「あー? まあ、あんたがキリを初めて見た時の表情とか、小刀向けた時も、殺意なんて感じなかったからよ」
「だから本当はそうじゃねえかなと思ってたんだよ、当たりだったろ?」と、口角を上げて言ったシカマルに、イチカはジト目を向ける。
イチカ「あんたってほんとに腹立つわね」
心配してここへ来たはずなのに、キリの事を責めるような態度をとってしまった自分を思い出して、イチカは顔を歪ませる。
イチカ「ほんとはあんなこと言うはずじゃなかったのに、あんたのせいよ」
シカ「あ? なんで俺なんだよ」