第36章 決別
シカ「お前の知ってるキリは、親友の親兄弟、里の奴らに手をかけて、何も思わずに生きていくような奴なのかよ?」
イチカ「っ……! わかったような口聞かないでよ!! あんたからそんな事言われたって……!」
きゅっと唇を噛んだイチカを見て、シカマルはゆっくりとため息をついた。
シカ「じゃあ本人に直接聞けばいいじゃねーか」
イチカ「……私相手に、キリが本音で喋れるはずないでしょ」
イチカ(私の家族を殺したキリが……私に言えることなんて……)
そう言って、視線を下げたイチカを見て、シカマルは自分の考えが外れていなかった事を確信する。
シカ「お前、本当はキリのこと心配して木ノ葉の里まで来たんじゃねえのか」
イチカ「!!」
キリを殺しに来たわけじゃないのだろうと、次いで問いかければ、イチカはぐっと口を結んで、否定する事は無かった。
それが、まぎれもないイチカの返事だった。
シカ「キリとちゃんと話せよ」
そう言えば、キッと鋭い視線をイチカから向けられる。
イチカ「キリは、話してなんてくれないわよ!!」
ただでさえ、イチカの両親や同郷達に手をかけた事で負い目を感じているのにも関わらず、先ほど……イチカはキリに酷い言葉を投げかけた。
イチカ「私も……キリに……」
こんなつもりでは、無かった。
キリの無事を確認しに来たはずなのに、言ってはいけない事を……自分はキリに言ってしまった。
じわりと、イチカの瞳に涙がたまっていく。
それが溢れる前にイチカが乱暴に目のあたりを擦れば、何かを考えるような素振りを見せていたシカマルが口を開いた。
シカ「俺に一つ提案があるんだけどよ」
イチカ「提案……?」