第36章 決別
探していた事が図星だったのか、イチカは不愉快そうに顔を歪めた。
イチカ「じゃあ、なんであんたがここにいるのよ」
シカ「あーまぁ、お前と話したい事があったからよ」
そう、キリから全ての話を聞いた後。
シカマルはイチカのもとへ向かおうとするキリを制止して、自分一人、ここへ来た。
キリとイチカが話をする前に、どうしても確認したいことがある。
さて何から話そうかと、シカマルが考えを巡らせていれば、イチカは酷く苛ついた様子で言葉を投げかけた。
イチカ「何。私はあんたと話す事なんてないんだけど」
そんなイチカに、随分と気の強い女だな、とか。キリとはタイプが違うように見えるが、この二人は果たして相性が合うのだろうかとか。そんな事がふと頭をよぎる。
だが悠長にしていたら、イチカがさらに苛立っていくのが目に見えるので、早々に本題に入ることとする。
シカ「キリから、全部聞いた」
イチカ「!!」
シカ「で、だ。これ以上あいつの事責めないでやってくれねぇか」
その言葉に、かっと頭に血がのぼったイチカの手がシカマルの頬を張った。
シカ(……ってぇ。これだから気の強い女は苦手なんだよ)
イチカ「あんたに何がわかんのよ!!」
「部外者が口を挟むな」とイチカから怒号が飛んで、シカマルは先ほどの平手で少し熱をもった頬をさすりながら答える。
シカ「俺には親もいるし仲間もいる。今まで親しい人間を亡くした事もねぇから、正直なところお前の気持ちはわからねぇ」
イチカ「だったら!」