• テキストサイズ

ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第36章 決別




なぜ里の人間に手をかけたのか、その理由を何度聞いてもキリは躊躇していたが、それでも、最後には話してくれた。


シカ(それじゃあ、キリが……っ)

それは、あまりにも…あまりにも辛すぎて、聞くに堪えないものだった。


樹の里では産まれて間もない頃から薬物を使用して、能力の向上を図っていた。

その薬物が自らの耐えられる量を超えた時、極度の興奮状態に陥ったり、あらゆる場所から血を流したり、人それぞれ何かしらの異常をきたすらしい。



キリの異常は〈殺人衝動〉だった。


シカ(キリが悪いわけじゃねぇ……っ)


キリが悪いわけではない。

キリの意思だが、キリの意思ではないのだ。


でも、キリは自ら思った感情で行動した。

それが薬物から来るものだったとしても。


シカ(くそっ……)

人に対してあんなにも優しい気遣いをするキリが……この事でどれだけ心を痛めているのか、それは想像を絶するほどだろう。


シカ(あいつが悪いわけでもねぇ)

キリだけではなく、キリの親友、イチカと呼ばれるあの女も。

誰かが悪いわけではない。


だから、だからこそやり切れない思いがシカマルの胸をしめる。

キリも、イチカも被害者なのだ。


シカ(………っ、くそっ……)


もう何度ついたかわからない悪態を胸に、シカマルは一人、駆けるスピードを上げる。

シカ「!」


ようやく探していた人物を発見して、シカマルは向きを変えてそこに近付いていく。


シカ「よぉ」

イチカ「あんたさっきの…!」

一体なにをしに来たのだと、声を低くしたイチカは、すぐに何かを探すようにあたりを見渡し始める。


シカ「キリなら居ねぇよ」

イチカ「!!」

/ 1018ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp