第36章 決別
長い間、キリがいくら考えても、明るみに出ることが出来ない。行き着く先は、いつだって一つしかなかった。
キリ「イチカが……樹の里の人達が、私に死を望んでる。だから、私は今度こそ樹の里の人達の手で最期を迎えたい。その為に、私は今まで生きてきた」
シカ「っ…! その為にって」
それでは、キリは殺されるために今まで生きてきたと。そう言っているのだろうか。
シカ(んだよそれ……っ)
キリ「あなたも聞いたでしょう。隠すつもりもなかったけど、全部本当のこと。だから……もう関わらないで」
シカ「聞いた。でもそれがなんだっつーんだよ」
キリ「 だから「お前はお前だろ」
最後まで聞く前にそう言えば、キリは目を丸くする。
シカ「俺はお前が望んでそんな事するようには、どうやっても見えねぇ」
その言葉に、キリは小さく首を振った。
キリ「違う。私が……殺したいと思って、そうしたこと」
自らの意思で、そうしたのだと消えそうな声で告げるキリが、痛々しくて仕方なかった。
シカ「……そいつらが何かしたのか? キリが手をかけなきゃなんねー理由があった……とかよ」
キリ「無い。みんなは何もしてない。むしろ、私の心配までしてくれてた」
そう。キリはあの日。
薬物の容量越えで様子が異なるキリを心配して、そばに来てくれた仲間をキリはその手で刺した。
その時の光景を思い出して、キリはぎゅっと両手を合わせる。
シカ「聞かせてくれよ、お前が思ってること全部。お前の口から」