第36章 決別
イチカ「だったら私が教えてあげるわよ! キリは樹の里で、同郷のみんなを殺した!! 仲間もキリの両親も……私のお父さんも、お兄ちゃんだって!! キリのその手で、みんな……っ!!」
シカ「!!」
イチカ「あの日、樹の里では17人もの死傷者が出た。みんな…みんなキリがしたことよ……っ!!」
「あんたはそれを知ってんの!?」と、キッとイチカから鋭い視線を向けられて、シカマルは言葉を詰まらせる。
イチカ「キリなんて……っ」
ぐっとイチカは拳を握りしめ、次の言葉を噛み殺した。
そして、踵を返したかと思えば、イチカは里の中心部へと消えていく。
シカ「……」
シカマルは、言葉を選びかねていた。
今イチカ言われたその言葉の真偽と、キリの状態が気になる。
シカマルがキリへ視線を向けると、少し俯いていたキリはゆっくりと顔を上げた。
キリ「……本当のことよ」
「全部、全部。イチカの言っていることに間違いは一切ない」と、告げられて、シカマルは再び言葉を詰まらせる。
キリ「だから……いいの」
シカ「……?」
いい、と言うのがどれを指しているのかが分からず疑問符を浮かべれば、キリは言葉を続けた。
キリ「イチカを止めなくて、いい」
シカ「でもさっきのは止めてなかったら、やばかっただろーが」
知人だと油断していたのか、キリはイチカから刃物を向けられても、反応を示さなかった。